Sukeko

フューリーのSukekoのレビュー・感想・評価

フューリー(2014年製作の映画)
4.0
FURY=激怒(今作のテーマ)
憎しみが良心を見失わせ怒りが人を残虐にし戦争をより悲惨にする。

"It's my home"
ブラピがめちゃくちゃ渋い。

5人のキャラが濃ぉいぃ〜
バイブルを演じるトランスフォームシリーズでおなじみシャイア・ラブーフは役作りのため自分の顔をナイフで切り、歯を抜いたという。役作りからこんなに凄まじいなんて凄すぎる

本物のティーガーⅠ(世界でたった7つ)を使ったアクションシーンは戦争映画史上初で、元海兵隊であるデイビッドエアー監督でしか撮ることができないバトルシーンは見ものです!

この映画そんじょそこらの戦争映画映画とはリアリティーが規格外+テーマが深すぎる。

ただ最後の戦闘シーンもドイツ軍はなぜ後ろに回り込まないか疑問...。
戦争は人を狂わす。

<ノーマンを見逃したわけ>

戦車長ドン(ブラピ)が「理想は平和だが、歴史は残酷だ」と言うように、この映画は戦闘経験のない新兵ノーマンを通して戦争で人が残虐になっていく原因と変わりようを画いているように思います。

最初人を殺した事のないノーマンは、見つけた敵兵を殺すのをためらった為に味方の兵士を死なせてしまっていました。
敵兵を殺せないノーマンに困ったドンが力づくで捕虜を殺させていました。
この時ノーマンは良心の呵責に耐えられない一生後悔すると言っていたのに、その後ドイツ軍に味方の兵士が次々殺され更に恋人が殺されて、ドイツ軍への憎しみが募って進んで人を殺すように変わっていきました。

救出された時ヒーローと称えられていましたが、人を殺せなかったノーマンが奮戦し兵士として逞しく成長したようにみえる変化は、募った恨みで激怒し敵兵を殺しまくっただけ(救出された時の表情がうつろ)、命令や使命と関係のない歴史は残酷だとの言葉そのものに思えます。

で、ノーマンのうつろな表情には助かった安堵感や使命を果たした達成感はなく、恋人や仲間を失った悲しさや喪失感とその憎い敵を殺してもそれが埋まる事のない空しさや虚脱感があるように思います。
1945年の戦争末期という設定も今後戦争が終わろうとこの虚脱感は埋まらないというメッセージもあると思います。

以下からドイツ兵がノーマンがいることを仲間に知らせれば多くの仲間を殺したアメリカ兵への憎しみも大きく捕虜にせず殺すと考え(自分がドイツ兵を殺すよう強要されたように)、人殺しに加担したという良心の呵責に苦しみたくなくて見逃したと推測しています。

これが冒頭のノーマンと重なり進んで人を殺す変わりようを際立たせ、そのもとにある『FURY(激怒)』を強調しているように思います。
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