戦争映画で描かれる兵器で、潜水艦や戦闘機は基本多いものの、戦車にフォーカスした作品はほぼ皆無に近く、故に本作はそれだけで、とても楽しめる部分がある。
ノーマン演じるキャラが戦場に投げ込まれた、映画を観る観客と同じ視点で描かれ、序盤の方は地獄のような現状から目を背けたくもなるも、どんどん免疫がついて彼ら同様異常な精神に慣れていく。
この構成が非常に素晴らしく、この映画の最も恐ろしい部分。
チーム映画として、中盤以降カタルシスが得られるも、ノーマンの中で何かが壊れていく様子がわかる。
しかしそれと対照的に、過酷な戦場を生き抜いた彼らも実は「神」を信じずにはいられなかったという本作の優しい側面も素晴らしい。
もう少し、作戦を緻密に立てた奇襲戦や攻防を死守するような戦闘を期待してたけど、割と行き当たりばったりの繰り返しでスケールダウンしてしまった印象。
ブラッドピッドのやつれた役作りも凄まじく、スターのオーラを完全に消し去り、一兵士になりきっている。
他の役者も、過酷な戦場を生き抜いた仲間特有の超ブラックユーモアなコミュニケーションの取り方、乱暴な会話の何気ないやりとり。
ここら辺はデヴィッドエアー独特の演技指導が光り、前線の臨場感を叩き出す。
EDのドキュメントとスタイリッシュの融合など、映画全体のデヴィッドエアーの演出により、最後まで存分に楽しめた。