てつこてつ

ヴィーナス・トーク 官能の法則のてつこてつのレビュー・感想・評価

3.5
これは「官能の法則」なんて変なサブタイトルのせいでかなり損してしまっているが、40代の女性のリアルな性の欲望や、夫婦関係、恋人とのパートナーシップの在り方を非常にリアル且つ丁寧に描いた、なかなかの秀作。2014年製作でそんなに古い作品でもないのに、画質の悪さが勿体ない。

似たようなテイストでは、最近、同じく韓国映画で「秘密のオブジェクト」という作品を見たが、あちらは、女性監督の目線ならではの、より性欲にテーマを絞っているのに対し、この作品では、よりテーマとしては間口が広いし、何と言っても豪華なキャスティングに驚かされる。

「オアシス」のムン・ソリ、「嘆きのピエタ」のチョ・ミンス、「ミス・ワイフ」「ノンストップ」のオム・ジョンファと三人のヒロインを演じる女優陣は凄い面子。また、それぞれのパートナー役を演じる男優陣も、イ・ギョンヨン、イ・ソンミンといったベテラン勢に、イ・ジェユンといった精悍な若手が華を添える。

とにかく演技が出来る俳優が揃っているので、当然、作品もきちんと締まり、前半のコメディ調から中盤以降、一転してシリアスな展開になっても全く破綻がない。これだけのクラスの女優陣なので、さすがにベッドシーンでもせいぜい下着姿止まりだが、それでも、恍惚の表情とか結構大胆な演技を披露する。

「この年齢で週に三回夫に迫るのはどうよ?」という台詞や、一人が膣の再生手術を受ける展開、自分の甥ほど年の離れた若い恋人が母親名義のクレジットカードでデート代を支払う事に戸惑う敏腕プロデューサーとか、なかなかリアル。三人のヒロインを最後にそれぞれ待ち受ける結末も無理がなく爽快。

こういった女性の性を大胆に扱った映画作品に大女優が出演して、きちんとしたエンタメ作品が成立してるって事実に、やはり、韓国映画界は、日本映画界よりもより成熟したある種の健全さを感じる。
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