たむ

マルケータ・ラザロヴァーのたむのレビュー・感想・評価

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)
4.6
チェコ映画史上最高傑作とも評される壮大な叙事詩です。
映像の持つ力が尋常ではなく、映画芸術の真髄を見せつけられる作品です。

聖書などを引用しているため、宗教関係のテーマ、題材ではあるので、事前に知識があるかないかで評価が変わりそうかと観る前は思っていました。
構成が、独特で、章立てやこれから起こる出来事がクレジットされてから、そのシーンが始まります。
ラース・フォン・トリアー監督やタランティーノ監督もよく使う構成方法で、内容を観客の頭の中に入れてくれます。
本作の場合には、予言の役割を果たしているように思われます。
観客の頭の中に描いた物語と、このあと展開する物語が、葛藤します。
事前に物語が予言されるということは、大どんでん返しはないわけです。
しかしながら、本作は、その予言にはない細かいところ、市井の人々のリアクションであったりも描き出します。
この歴史や聖書から削られてしまう人間の生き様。

『神々のたそがれ』をふと思い出したりもします。
映画の意図を全て読み取れているかは不安ですが、陶酔の長編映画芸術ですね。
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