安堵霊タラコフスキー

マルケータ・ラザロヴァーの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)
5.0
フィルムセンターで特集されているチェコ映画群の中で最大級の大作にしてチェコ映画史上の傑作

話の内容としてもシェイクスピア悲劇を思わせるほどの格調高さを持ち合わせているのだけど、やはり最も凄まじいのはその映像で、それこそシェイクスピア演劇を多数映像化したオーソン・ウェルズや黒澤明に匹敵するほど迫力があってただただ圧倒される

展開や人物の動きもアレクセイ・ゲルマンやその弟子カネフスキーらが後年撮る作品並みに破茶滅茶で疾風怒濤と言えるほどのもので、こんなものを3時間近く見せられたら疲労感も途轍もないのだけど、そのためもあって心底とんでもない映画を拝んでしまったという気分を味わう

しかしこんな途方もない作品を、あのATGすら日本に紹介しなかったのが不思議でならず、フィルムセンター等で行う特集上映でしか拝めないというのは日本における悲劇ではないか

ところでこの映画、夜のダイヤモンド同様アグニェシュカ・ホランドがオールタイムベストに選んでるわけだけど、作る映画はそれほど好みでないものの彼女とは結構趣味が合いそうだと思った