トランスマスター

0.5ミリのトランスマスターのレビュー・感想・評価

0.5ミリ(2014年製作の映画)
4.0
#26 感謝される人

高知県が舞台。
介護ヘルパーの女性が主人公。
依頼主の要望でおじいちゃんと一晩寝てくれないか頼まれ応じる。そこで警察沙汰になってしまう事件が発生し、それをきっかけに職・家を失ってしまう。さらに大金の詰まった封筒の入ったコートを電車に置き忘れて無一文になる。窮地に追い込まれた主人公は、さまざまな爺さんにおもてなしと介護のスキルを通してギブアンドテイクをしていくサバイバル・パラサイトムービー。

◆良い点/注目ポイント
・登場人物が曲者揃いさらに演技力は半端ではないため3時間超えの映画なのにも関わらず退屈しません。
・調度品も爺さんらしい昭和臭漂う内装や調度品や家具や家電、邦画にも関わらずかなりの使用感・生活感が溢れています。
・安藤サクラの美人とブスの演じ分けが凄いです。姿勢や歩き方で変化を持たせています。
・アホの坂田のコメディアンとは思えない演技にビックリ!
また愛車のいすゞ117クーペの外観や排気音、1967年式シェビー・インパラのようなカッコ良さです。
・セーラー服JK(海軍だけにセイラー)のエロ本を万引きした元教師で元海軍兵を演じる津川雅彦の戦争を語る長回しは強烈です。
・様々な爺さんとの居候生活がオムニバス調になっていて楽しいです。また主人公のサワは、宿主に接触する際に相手の弱みに付け込んで押しかけますが、宿と食事を提供してもらう以上の奉仕を提供しているので出会った人々から感謝されている点が凄いところです。

◆改善点
・最初の片岡家にまつわる伏線回収が回収しきれずに不発に終わってしまったところが残念でした。起承転結の【転】を意識した章だと思いますが、個人的には津川雅彦の戦争を語る長回しで終わってしまってもいいと思います。

◆総括
・1回通して見た後にネタバレを知ったうえでもう一度見ても楽しめます。最近の邦画の中ではトップクラスで面白いと思います。(普段邦画をあまり見ないので分母が小さいですが・・・。)

-2021年 26本目-