もっちゃん

0.5ミリのもっちゃんのレビュー・感想・評価

0.5ミリ(2014年製作の映画)
4.2
安藤サクラは本当にいろんな表情がありますね。惚れ惚れします。中でも今作、最高の演技を見せてくれたのは坂田師匠ですね。あんなおじいちゃんはいたるところに見かけます。

近年、人と人との距離はより注目されるようになっている。注目されるようになるということはそれが危機に瀕しているということを意味する。以前のように家族が「愛情」という一つの共通観念のもとで団結することができなくなっているからだろう。
「家族」の融解、高齢化・介護社会の行く末。そんな普遍的なテーマを今作は、大きく分けて三つの社会を見ていくことで解き明かしていく。

ヘルパーをしていた安藤サクラ演じるサワは老人や子供の弱みにつけ入り、強引に共同生活を送ろうとする。悪魔のように付きまとう彼女を最初はみな嫌悪するのだが、次第に彼ら自身が抱える問題が浮き彫りになっていくと同時にここでサワの存在が活きていく。一つの集団に異物が混入することによって新たな流れが生み出されていくというわけだ。

家族では踏み込めなかった段階にサワは簡単に踏み込んでいく。かといって家族のように密な関係ではないがゆえに、変な息苦しさも感じないのだろう。人と人との距離というのは複雑である。サワが終盤に少年(?)に告げたセリフが印象的。「私とあなたの距離はこのぐらいがちょうどいいのよ」うどんをすするサワと少年、そして後ろから見ると彼女らの間には柱一本分の距離が。「0.5ミリ」という距離は微妙だが、その絶妙な距離感が人と人との関係を左右する。

家族の紐帯はどんどん希薄化している。しかもそれと同時に、誰にも看取られずに死んでいく老人も増加している。そういった人たちを見送るのはもう家族では足りなくなっているのではないか。家族ではない何か、例えばサワのような異物が必要になっているように感じる。