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0.5ミリのruiのレビュー・感想・評価

0.5ミリ(2014年製作の映画)
4.0
竜じいがでてきて、坂田利夫がでてきて
おや、これは新喜劇メンバーで構成されてるのか?と思いきや、全く違った。こんな余計な詮索をしてしまうのは大阪で育った弊害でもある。
それはそうとてオール高知ロケというのは、高知に縁のある家系で育った私は陰ながら嬉しく思うし、監督の安藤モモ子が撮影後に東京から高知に移住をしたという点においても、移住の先輩が一線で活躍されているのは勝手に嬉しい。

さて、話が逸れました。

もう何と言ってもこの映画における安藤サクラの素晴らしさたるや。
決して美少女系のコンテストに優勝したりするような美人ではなく、雑誌のグラビアなんかの表紙になるようなタイプではないのに、安藤サクラがずば抜けて美しい。
演技もまた化け物かと思うほどに素晴らしい。怖い、怖いよ。

途中、安藤サクラが乗っている白のいすゞの車の前を青い旧車が横切って、その後、また再び同じように青い車が登場したシーンでマコトに出会う意味はなんだろうか。
青い=メーテルリンクのあの話を含ませているのか?
白から赤く染まったワンピースも、親子間のきっとそういう関係性を暗示してるのか?
なんだか言葉としての説明がなくて具体的なことはないから推測ばかりだけど、画面から伝わってくるものの多様さは尋常じゃない。

高齢者の認知症や孤独といった日本の抱える問題にとどまらず、
人間の多様性、生きることの連続性、そして死についての様々なことがサワさんを通して物理的にも精神的にも描かれているような気がしてならなかった。
その距離がきっと0.5ミリなんだろうな。
津川さんがカメラに向かって喋り続けるシーンも静かに静かに圧巻。
良き作品。
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