映画ネズミ

マジック・イン・ムーンライトの映画ネズミのレビュー・感想・評価

4.2
向いている人:
①コリン・ファース、エマ・ストーンが好きな人
②『ミッドナイト・イン・パリ』が好きな人
③ロマンティック・コメディが好きな人

 今回から、新しい企画を始動させます。

 題して、「映画ネズミ、チーズのおかわりをする。」

 つまみ食いしてみた映画監督の作品を、他にも見てみようという企画でございます。

 『ミッドナイト・イン・パリ』が好きだったので、ウディ・アレンの作品をもっと見てみたいなと思い、今回の企画になりました。

 さて、今回はウディ・アレン監督作『マジック・イン・ムーンライト』です。以前おススメしていただいた作品でしたし、アマゾンプライムの配信期限が迫っていたので、滑り込みで見ました!

 ジャズを掛けたくなる映画でしたよ!

 1928年のベルリンで中国人に変装してマジックをやっているスタンリー(コリン・ファース)は、旧友から誘われて、南フランスにやってくる。なんでも、そこの資産家の御曹司が、ソフィー(エマ・ストーン)という霊能力者に入れあげているので、ソフィーのインチキを暴いてほしいというのだが……。

 『ミッドナイト・イン・パリ』でも思ったんですけど、本作も、オープニング曲が軽快でワクワクしますね。

 冒頭、コリン・ファースが中国人に変装してやるマジックの舞台シーンがあるんですけど、そこで最初にかかる曲のイントロが『ジョーズ』みたいで笑っちゃいました。

 舞台は、『ミッドナイト・イン・パリ』と同じく、1920年代。ウディ・アレンは、1920年代が好きなのかな??

 そして出てくるのは、『ミッドナイト~』と同じく、「背伸びしようとする(虚勢を張る)オトナ」。

 神も霊能力も信じない合理主義のマジシャンを、コリン・ファースが好演しています。

 『キングスマン』みたいなパーフェクト紳士もイイですけど、本作みたいに捻くれ者も似合いますね。

 ところが、そこはウディ・アレン映画の特徴なのか、結構早めに鼻っ柱を折る展開がやってきます。

 「僕は嫌いだ。単純な手で人をカモにする人間も、バカすぎるカモも」「その女の化けの皮をはがして、叩き返してやろう」と豪語していたコリン・ファースも、エマ・ストーン演じる霊能力者と話をして、交霊術を見るうちに、見事に陥落。

 インチキを暴けないばかりか、年下の娘に恋しちゃう。

 二重の意味で、「ミイラ取りがミイラになる」展開。

 大人って、いくら虚勢を張っていても、チョロいし、打たれ弱いし、理性なんかすぐ吹っ飛んじゃう弱い存在だけど、だからこそ、人間っていいじゃん!っていうあたりは、『ミッドナイト~』にも出てきたというか、人生経験の塊であるウディ・アレンならではなのかもしれませんね。

 そして、霊能力者役のエマ・ストーン。画面に映った瞬間にすべて持っていくカワイさでしたね!!

 帽子が似合うこと!

 一方で、後半、舞踏会でコリン・ファースに話しかける場面の、セリフと表情がすごく苦しそうで、切なかったですね……。

 エマ・ストーンがもっと好きになる映画でした!!

 南フランスのコート・ダジュールの風景が本当に美しいし、セリフの数々も心にしみわたる、それでいて軽快で爽やかな映画でした。

 コリン・ファースの終盤の行動とか、初めての人にはついていきにくい人もいるかもしれないので、本作から見始めるよりは、『ミッドナイト・イン・パリ』から見た方がいいかもしれません。

 逆に、『ミッドナイト・イン・パリ』が気に入った人は、本作もきっと気に入ると思いますよ。

 次のウディ・アレンはどうしようかな……エマ・ストーンつながりで『教授のおかしな妄想殺人』を見ることは決めてるんですけど、『カフェ・ソサエティ』の方が先に見たい気もするし……と、すっかりウディ・アレン作品に魅了されてしまいました。

 最後に、コリン・ファースの超絶かっこつけセリフでお別れです。

 メカには自信がある。

 今日は、ここまで。
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