Azuという名のブシェミ夫人

マジック・イン・ムーンライトのAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

3.9
ウディ・アレンお爺ちゃんが、12/1に80歳のお誕生日を迎えたということで、このタイミングでおめでとうレビュー。
人気超大作!っていうのじゃなくても、こういう小粒ながらもじんわり何気なく印象に残るような作品がウディ爺らしいし、ずっと撮り続けて欲しいな。

主人公が中国人の扮装でマジックを披露しておきながら音楽はボレロだったりして、なかなかにシュールな感じのマジックショーで幕開け。
最初から皮肉、皮肉、皮肉の連続で、あまりにも畳みかけてくるもんだからウディ爺張り切ってるなぁ~って微笑ましく思えてニヤけてしまった。
よくもまぁあんなに皮肉っぽいセリフを次から次へと思いつけるもんですね。
そんな主人公を演じるコリン・ファースは、『高慢と偏見』『ブリジット・ジョーンズの日記』や『英国王のスピーチ』などと同様に最初はツンツンしてるけど、次第にデレてくる今回の様な役がとっても似合いますね。
彼が演じるキスシーンって、相手をとても愛おしく思ってるっていう感じを出すのが凄く上手で毎回キュンキュンします♡
『キングスマン』や『シングルマン』でもスーツの着こなしがとても素敵だったし、お見事な英国紳士っぷりで大好きな俳優さん。

有名なマジシャンでありながら、その高すぎる自尊心と溢れ出る憎まれ口で、登場人物たちと共に恐らく観客からも距離を置かれてしまうスタンリー。
でも、素敵な伯母様を大事にしている様子でちゃんと彼の良い部分も見せることで、憎めないキャラクターにしているとこがイイですね。
そして、そんな彼が疑ってかかる美人霊能者ソフィをエマ・ストーン。
レトロファッションが良く似合っていて、ふんわりした雰囲気でありながら時折エキセントリックな様子も垣間見せる魅力的な女性!
あんな笑顔を見せられたら、降参しちゃうよね。

今回の作品では霊能力がインチキ臭いなんて言うけれど、ウディ・アレンの作品は大抵全体的に胡散臭い雰囲気あると思うの。
別に貶してるわけじゃなくて、うーーん上手く言えないけれど、シリアスな時にもどこか滑稽って言うか、地面から数センチ浮ついてる感じ?
あーーやっぱり言葉に表せない。

あとは、富豪ウクレレ息子の作曲能力が少しづつあがってるような感じがちょっと面白かったし、超合理的で物分りが良い(良過ぎる)婚約者のくだりも地味に笑わせてくれた。
ファッション、クラシックカー、お庭、南フランス、天文台に月明かり、うん素敵。

物語は単純明快だし、別段ビックリするようなことは起きませんが、大きなゾウが箱から消えたり、人間が瞬間移動するだけがマジック(魔法)では無いのです。
自分がこうだと思っていた世界にはまた違う側面があることに気がついたり、誰かの笑顔が何故だか頭から離れなかったり・・・そんな風に人の心が思いがけずコトリと動いたとき、その瞬間を魔法と呼んでもいいかもしれませんね。
一流のマジシャンでなくったって、稀代の霊能力者でなくったって、そういう魔法ならばきっと私にも、貴方にも。。