荒野の狼

The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠの荒野の狼のレビュー・感想・評価

4.0
『The Crossing ザ・クロッシング Part I』(原題:太平輪 / The Crossing)、『The Crossing ザ・クロッシング Part II』(原題:太平輪 彼岸 / The Crossing 2)、は、2014年・2015年制作の中国・香港合作映画。Part IとIIはそれぞれ約2時間の作品で、両者を合わせて観ると4時間かかるが、両者は独立していないので、一度に見るのがおススメ。

本作の主要登場人物は4人。台湾人医師の金城武。中国の国民党軍の将軍のホアン・シャオミン(黄 暁明)。女優陣は、中国の富裕層のソン・ヘギョと貧困層のチャン・ツィイー。金城は日本、ソン・ヘギョは韓国出身であるので、日中韓のスターの共演。

Part Iは、第二次世界大戦の末期の1945年が舞台であるが、この時点で台湾は日本統治下。従って日中戦争では、台湾兵士は日本軍として中国と戦っていたことを念頭に入れる必要がある。金城武は台湾人であるが日本の軍医として参戦しており、国民党軍の将軍のホアン・シャオミン(黄 暁明)は中国軍として参戦。大戦後は、国民党は共産党と戦い(中国人同士の戦争)、劣勢となり台湾に追いやられることになるのだが、歴史の概要を抑えた上で視聴しないと物語の全体を追うことは困難。

蒋介石の国民党軍兵士に対する理不尽な指示により大きな犠牲が出た内戦であるが、国民党の市民に対する暴力・虐殺も描かれている。一方で、毛沢東の共産党軍は、市民を味方につけ、捕虜も丁重に扱ったというのが史実であるが、本作では、共産党側の行為はあまり描かれていないので、本作を視聴しても、国民党軍の暴政は理解できるが、共産党側の活動はわからない。Part Iの主役はホアン・シャオミンとソン・ヘギョのカップルであり、甘く切ない物語も見所。ソン・ヘギョが台湾基隆市の日本家屋に移り住むことになるのだが、周囲に豊かなススキ野があり、印象的。
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