1960年代にインドネシアで密かに行われた大虐殺を加害者視点で追った『アクト・オブ・キリング』を、被害者側から見つめ返すドキュメンタリー
前作と変わらず、ジョシュア・オッペンハイマー監督が務める
とにかくやるせなくて息の詰まるような思いに酷く苛まれるドキュメンタリーなので、ある意味前作を凌ぐような映画だった
加害者がここまで狂っていたら被害者の方は死んでも死にきれないよ
前作を観てからかなり経ってしまいましたが、かなりの衝撃作なので観ているうちに鮮明に思い出す
『ゆきゆきて、神軍』のような方式で、今回は虐殺により無惨に殺されてしまった兄を持つ男性がインタビュアーとなり、加害者側宅へ訪問し話を聞くという流れ
前作『アクト・オブ・キリング』は大量虐殺を行なった人物らは英雄扱いされ、その事についての罪の意識を持つどころか意気揚々と武勇伝のように話すイかれ映画でしたが、本作もベクトルの違うヤバイさが露呈するドキュメンタリーだ
それも本作は被害者視点なので前作のような派手さはないものの、被害者遺族の苦しみをアディの怒りと悲しみをこらえる涙目になった視線を通して追体験するような感覚
話を聞いても加害者側の連中はひたすら責任転嫁や話をごまかそうとする
呆れてものが言えないし、こんなに根が腐った人間がいることにただただ恐怖を超えた怒りを覚える
実際に兄を殺した人物達に会って冷静に会話ができるだけでも相当苦しいだろうし、こんな映画を公開しようもんなら下手すりゃ殺されてる可能性だってある
それでも出演をすると決めたのは、二度とこんなことが起きてはいけないということを世界に発信したかったからだろう
そんな彼に心から敬意を表します
こういう道徳心の欠片もない倫理のぶっ飛んだ人間達が世界には数多く存在すると言うことを認識させる為にも、『アクト・オブ・キリング』と併せて義務教育で観せるべきドキュメンタリーのひとつ
当然ですが前作同様、エンドロールが“ANONYMOUS”だらけだった
〈 Rotten Tomatoes 🍅96% 🍿89% 〉
〈 IMDb 8.3 / Metascore 92 / Letterboxd 4.2 〉
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