ちいさな泥棒

ルック・オブ・サイレンスのちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

ルック・オブ・サイレンス(2014年製作の映画)
5.0
長年黙殺されてきた1965年にインドネシアで起きた100万人の大虐殺。今でも英雄とされ裕福に生きる加害者に皮肉な形で斬りこんだ『アクト・オブ・キリング』今度は被害者目線。視力検査を行うフリをして接触し話を聞き出すあまりにも危険な行為で得られたもの…もうタイトルが全て。秀逸…

思い返すだけで今も泣いてるんだけど途中から現実だと思いたくない自分もいて俳優を使った紛いものなんじゃないかと思えてきたり。生まれる前に虐殺された兄の死の真実を知りたい気持ちもわかるけど加害者も被害者のお母さんや周りの人も同じことを言う。もう堂々巡りで「もうやめよ?」と何度も思った。

英雄と呼ばれる加害者もクスリを使ってハイになってたからか大体の人がヒョロッヒョロで時代の渦に巻き込まれてやるしかなかったりどっかで感情を捨てて蓋をするしかなかった気持ちもわかるけど…わかるけどなんだよな。自分がその渦中にいたら…?責めても聞いても思う答えが得られない。結局なにを得られたら満足するのか、なにを求めてるのかも次第にわからなくなってくる。『スリー・ビルボード』みたいな気持ちになってくる。

ただ素直に罪を認めて謝ってほしかっただけなのかもしれない。例え浮かばれないとしても、たった一言でいいからまずその言葉があったらまた少し沈黙で見つめる意味も変わってきたり違ったのかもしれない。