土偶

ルック・オブ・サイレンスの土偶のレビュー・感想・評価

ルック・オブ・サイレンス(2014年製作の映画)
3.5
「アクト・オブ・キリング」を観たので続編的なこれも宿で観た。
「アクト・オブ・キリング」が
虐殺者が自らの行いを演じているのに引き換え、こちらは被害者の弟が虐殺者に話を聞き、虐殺者の話す映像を見ている様を撮っている。
その主人公が眼鏡技師で虐殺者の眼鏡を作っているのが暗喩的だ。
「虐殺をした多くの人は狂うが、殺した者の血を飲むと狂わない。だから俺は狂っていない。血を飲んだからな。」というような意味の事を何人かの虐殺者が言っていたが、そんな事を出来る人間なら確かに色々な精神的な耐性はありそうな気がする。
自らの犯した虐殺で狂ってしまうかそうでないかは、自らの精神や倫理観のような内面に因るのではなく、何かしらの呪術的で儀式的なマジックリアリズム的なものによって封じることができると信じていることそのものがそんな狂気を遠ざけているようにも思えた。
自分が虐殺者となった時、自分の愛する人が虐殺者だったと知った時、自分が虐殺から生き残った時、自分の愛する人が虐殺者に殺されたと知った時、そして自分の愛する人が殺された虐殺から生き残った人と会った時、人はどんな言動を取るのか、想像力を超えて余りある状況が、この映画には描かれている。
土偶

土偶