垂直落下式サミング

ルック・オブ・サイレンスの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ルック・オブ・サイレンス(2014年製作の映画)
2.2
『アクト・オブ・キリング』の続編。
今度は、被害者遺族が加害者に直接話を聞きにいくという視点で主に進行していくのだが、前作が面白かったのは、映される真実が衝撃的だったことと、アンワルさんとその取り巻きが面白かったっていうだけのことで、監督のドキュメンタリー作家としての力量はそれほど高くなかったんじゃないか?と感じてしまうくらいにメリハリのない映画だった。
平凡な若者を主人公にしたら途端につまんなくなっちゃった。それはアンワル一味が面白すぎたので致し方ないグレードダウンの部分だとは思うが、撮ってるオッペンハイマーも、撮るなら撮る、喋るなら喋るで、カメラの外側から口をだすのなら、マイケル・ムーアみたく気の利いたこと言ってほしい。
それに、当時のアメリカや日本は虐殺のことを知ってて黙認してたわけで、二作目なのに、そこに触れないで実際に手を汚した加害者にだけ過去の責任をおっ被せるってどうなの?って問題もある。
そりゃあ、実際の現場にいて殺したやつが悪いに決まってるし、人殺しの一派が現在も権力を握ってるのは酷いと思うけど、そういうことを非難したいんならインドネシア政府相手に一人でやってろよ。目的もハッキリしてない奴に、話を聞きに来られても迷惑だろ。悪いやつになら何してもいいってか?如何にも「懺悔と赦し」の西洋人的な思考だ。
残す価値のない映画だとは言わないけど、ドキュメンタリーとしての面白さは前作の足元にも及ばないし、撮影する姿勢も不愉快だった。