ルック・オブ・サイレンスの作品情報・感想・評価

「ルック・オブ・サイレンス」に投稿された感想・評価

傍線部A

傍線部Aの感想・評価

4.0
「アクト・オブ・キリング」の続編。淡々としすぎてて、ときどきゾッとなる。話を聞く人が一律に同じような態度をとり続けているところが本当にリアルで怖い。彼らを断罪することはできるけど、一歩間違えば「彼ら」側になることは誰だって一緒。

このレビューはネタバレを含みます

全編通して苦しいけど、叔父さんが看守やってた件が苦しすぎる。自分の弟が息子の虐殺に加担していたと知らなくて、今になって知ったお母さんの気持ちはとても推し量れない。虐殺者の子孫が「俺は何も知らないんだ」と言って追い返そうとするシーンも、両者の気持ちがわかってつらい。自分がアディなら何も知らないからこそただ事実を知ってほしいし、子孫だったら親のやった惨事なんて知らんと言って知ることを拒否したくなるだろう。「そんなことやってると歴史は繰り返されるぞ」と脅迫した人以外は、肯定するという防衛本能だし他人事じゃない。
前作の時も思ったが、今この虐殺の歴史を掘り起こし、それでも事実と向き合いたい人たちのメンタルに感服。確かに埋もれてはいけない事だけど、詳細を知るにつれ、辛すぎる事が山ほどあったに違いない。それでも握手を交わす姿に感心すると同時に私なら耐えられないと思う
観ててられないくらいに酷い話。過去は過去、自分には責任がないと連呼する加害者たち。
前作『アクト・オブ・キリング』と同じく出演者の殆んどが本物の大量虐殺者というこの異常なドキュメンタリーは、こんなふうに殺人者達が殺人を認めながら大手を振って暮らしてるはずがないというのが思い込みだと気付かせるのである。戦争をしたあらゆる国には兵士と呼ばれるそういう殺人者がいくらでもいて、国家権力と富と植民地主義とねじ曲げた宗教と、あとプロパガンダと盲信ででっち上げた大義名分があれば異常じゃないはずの一般民衆が簡単に大虐殺を犯して罪にも問われないのは歴史が証明している異常ではない事態だったのである。人間について、善悪について考える気力を根こそぎ吹き飛ばしてしまいそうな危険な、けど大事な映画。
アキ

アキの感想・評価

3.6
いわゆる共産主義勢力が大量に殺戮されたとある政変よりはや50年、今なおのうのうと幹部の座に居座る老人方々にかつて兄を殺された男が静かにマイクを向ける。どれだけ言葉で繕い、英雄を気取ってもおりた沈黙が彼らの責を白日の下に晒す点、「ルックオブサイレンス」とはまことに言いえて妙なタイトルだと感じた。
くら

くらの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

椅子に腰かけた生き証人が、インタビュアーに向かって思い出話をする。

こうした証言ドキュメンタリーは、誰にもなじみ深い。だが加害者が被害者に対して証言するというものは見たことがなかった。
とても意地の悪いものだと感じたが、当事者同士が向かい合うことで何が起こるかわからない緊張が漂っていた。
特に被害者側であると打ち明ける場面、
加害者に見える明らかな動揺は、このシチュエーションが設定されたからこそ生まれたものだった。
そこには非難をかわそうとするだけでなく、過去に犯した過ちを認めたくないという心情が見て取れた。

虐殺、武力鎮圧、紛争、戦争。
呼び名は違えど、結局はすべて殺人ないし殺人未遂であることに変わりはない。
だがその時々の勝者によって、殺人は正義となってしまう。
これはインドネシアだけの話ではなく、すべてのケースに当てはまる。“大義名分”が用意された戦争では、兵士は相手を何人殺したかが勲章となる。

自分を支えてくれる仲間、住む土地、明日を生きるための食糧は、果たして暴力でしか得られないものなのだろうか。
殺人を正当化する人々の言葉は、ひどく虚しく薄いものに感じられた。
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