Utopia

エージェント・ウルトラのUtopiaのレビュー・感想・評価

エージェント・ウルトラ(2015年製作の映画)
4.4
こんなにもクリスティン・スチュアートが美しく光り輝いているとは、B級映画のテイストが漂うプロットから想像もしなかった。どちらかと言えば高嶺の花のようなクールビューティーと思わしき彼女が血塗れで髪を乱して愚直なまでにバカな男を愛する姿がこんなにもハマるとは。

サイコーにイケてない、アメリカのダサさを体現したコンビニ店員が実は最強の戦闘能力を持ち合わせていた、という厨二病かつオタクの妄想拗らせたプロットに過ぎないのだが、最上級のロマンスとアクションで魅せてくれる。

映画に漂うテイストはまさにB級でしかないのだが、キャラクターの感情を掬い上げる細やかな演出はまさにA級といったところであり、序盤のハワイ旅行失敗のくだりから、タグのついたままのアロハシャツと仲直りのメロディーが流れるレコードは完膚なきまでに秀逸。これだけで2人の培った軌跡が見え隠れするのだ。

ストーリーは突拍子もなくアクシデントに巻き込まれてばかり、置かれている状況の理解には中々時間が掛かる。が、しかしそれ以前に観客は窮地に立たされた主人公のカップルを愛せずには居られないため、むしろむしろ応援したくなる気持ちが俄然増して、映画としての面白さも上昇していく。

ホームセンターでアクションとロマンスが交わり、有終の美とは程遠いがそれでも爽快な大団円に拍手を送りたい。
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