赤いジャケット

裁かれるは善人のみの赤いジャケットのネタバレレビュー・内容・結末

裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

浜辺で横たわる鯨の死骸が印象的なポスターアートに惹かれ、観てみたんですが
これがまた面白い
ロシアを舞台に再開発の犠牲になる一家を描いた映画で、重苦しい雰囲気の中、映画が進行するわけですが
老いも若きもウォッカ、ウォッカ、ウォッカ
「善人」も「悪人」もウォッカ、ウォッカ、ウォッカ
こんな土地なんて神の裁きを受けてまえと観ているコチラが感じるほど、やたらアルコールを呑む場面が多い
そこに何とも言えないユーモアを感じたりしました
この何とも言えないというのがポイントで
邦題が「裁かれるのは善人のみ」となっているから、主人公一家は「善人」なんだろうと思いきや
そうとも言い切れない感じに描かれていたりする
また「悪人」であるはずの市長の弱さが劇中描写されていたり
本当の権力者なら酔っぱらって立ち退きを迫るなんて無いよな
そしてこれですよね、ラスト
主人公の妻は一番の被害者だって感じるけど、まあ母親になるより女性である事を選択したわけだし
主人公の男は自業自得な雰囲気はあるよな、頑固でタフなプライドが裏目に出てしまった
そこに理不尽さとか、救いのないという印象は受けない
何より主人公の息子は、主人公の妻の友人の無償の愛によってこれからは庇護される事が示唆される
この見方もまた一面でしかないと感じるのが、この映画の凄さなんだろう
色々な切り口でああだこうだ言えてしまう