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裁かれるは善人のみのkhのレビュー・感想・評価

裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)
5.0
2021/08/23 2回目
やっぱ裁判官の早口が好き過ぎる。もちろん鯨の骨なんて筆舌に尽くし難いほど。クレーンの場面は現代版のタルコフスキーのサクリファイスだろ。恐らく、同時代に生きる映画監督として、必ず追わなければならない存在の一人ではないか?ほぼ音楽もなく台詞も少ないなか、しかし画面に食い入るように見入ってしまう。どうしてか?多分、思わせぶりな演出のシーンが皆無だからだ。全てのシーン、全ての絵、全ての1秒に意味があり、この神話的現代物語が絶えず漸進している。物語の時間が澱みなく無駄なく絶え間なく進む。ゆえに取り返しがつかないと思わされる。雰囲気系とか映像美系とか言われそうでいて、その実、かなり直線的に時間が流れていてシンプルなんだと気がついた。

2016/01/01 1回目
情報量が多いと感想とかって書けなくなる。この映画はそれに近い。ただ、この映画が与えるものは、情報量ではなくて、なんというか「質量」という表現がしっくりくる。なんだか巨大な塊を頭の中に放り込まれたような感じがする。頭の中が「それ」で一杯になってしばらく何も考えられなかった。時間の流れとともに少しずつ表面が削れていくけど、まだその本質的な部分に触れることができない。めちゃくちゃすごい映画だと思ってる。タルコフスキーのように。
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