このレビューはネタバレを含みます
市の土地買収に抵抗する男の話。
一族が住んできた土地を守る為、友人の弁護士を呼んで来る主人公。
当初は不利だったものの、この弁護士が市長の弱味を握っていて、形勢逆転。
このまま土地を巡る、ポリティカル・サスペンスが描かれるのかと思いきや、弁護士と主人公の妻が浮気しちゃうんですよね。
そこから、浮気はバレるわ、弁護士は逃げるわ、妻は失踪するわ、家は壊されるわと、雪崩的に不幸に襲われる主人公。
最終的には妻の遺体が発見されて、殺人の罪を着せられてしまう始末。
いや~タイトルからして、理不尽な話になると予想していましたが、まさか家族の崩壊という理不尽が描かれるとは思いも寄りませんでしたよ。
ただ、いくら理不尽とはいえ、主人公に全く責任がないかと言うと、そうでもなくて。
この人、物凄く短気で高圧的な性格で、男から見ても嫌な感じなんです。
これじゃ妻もストレスを溜めるよな~と思わされますし、結局、妻を大事にしなかった事が浮気に走らせた原因ならば、主人公の自業自得と言えるのかもしれません。
全体的に不穏な雰囲気に満ちており、個人的にはもっと市長との駆け引きや闘争を見たかったので、その点は残念だったかなと。
ロシア映画だし、もっとエグい脅しを見れる事を期待してたのですが、シンプルに暴力で脅していたのは逆に笑えました。
でも、ウクライナの事を考えれば、これがロシアらしいのかな~とも思ったり。
市長の部屋にプーチンの写真が飾ってあったり、歴代の政治家の写真を射撃するシーンがあったりと、ロシアの政治権力の強さを暗に示した話でもありますし、政治家だけでなくロシア正教への批判が込められているのも印象的。
今となっては、ロシア国内でこういう映画を作るのは難しいと思いますが、本作が公開されていた時代は、まだマシな時代だったんだな~と思うのでした。