初見
原題「リヴァイアサン」。
ちっぽけな人間ごときが太刀打ちできるはずのない、神の創造物。
国家や土地に縛られて生きる人々の平坦な絶望を、痛烈な政治批判とともに淡々と描いた作品。
「LOVELESS」よりも宗教色が強い。
自分に神への信仰という素地がないせいか、この救いのない結末に、描かれていること以上の価値を見い出せませんでした。
何も言うことが出来ない。
特筆すべきはロケーションの素晴らしさ。作品のテーマを補強して余りある迫力。特に印象深いのはポスターアートにもあるクジラの骨と朽ち果てた教会。
それから破壊される家屋を内側から撮影したショット。ここが自分にとっては最もエモーショナルなシーンでした。
(追記)
鑑賞後数日、どうして自分はこんな嫌な気持になるのかをぽつぽつ考えていた。理由はこの映画の中で描かれる「神の不在」だと思う。
神の不在を描くこと自体が、神の存在を肯定しているようにも感じられるからだ。うまく説明できないし、信仰を持つ事を否定するつもりもないのだけど…もうしばらく考えなくてはまとまらない、とにかく哀しい気持ちになる映画。