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夏をゆく人々のsnatchのレビュー・感想・評価

夏をゆく人々(2014年製作の映画)
5.0
ーその昔、イタリアのトスカーナ地方の誰も知らない田舎に、ある家族が住んでいましたー
去年映画館で観て、私の若い時の映画熱が完全に甦ったきっかけの映画「幸福なラザロ」のアリーチェ・ロルヴァケル監督の2014年の作品です。現在38歳なのに、80、90年代の映画作家たちが持っていた息遣いがあるのに驚く。ラザロは、天からの視線が入っていましたが、こちらは登場人物が全員裸足でいるような、作り方は違うけれど、またもラザロぐらいこの映画に吸い寄せられた。自分の大変好みの監督さんです🤩
最初は、法を犯しざるをえない大人と虐げられる子どもたちなのかと思って観ていたが違った。観終わると全員にあたたかいものが流れているということがわかる。なんか静かにそっと嬉しくなった。
 父親は父権主義で家族には養蜂の仕事の厳しさしか伝わらない。長女のジェルソミーナも失敗したら殺されるとまでの怖さを抱きながらも😨一人前の養蜂家として責任を果たしている。父親はそんな彼女を相棒のように頼りにし特別な愛を注いでいる。この二人の関係にはフェリーニの「道」のザンパノとジェルソミーナも浮かんできた。
父親の言う〝金で買えないものがある〟がこの映画のテーマでもあると思うし、それを理解している娘も幼少期と変わらずに〝バボ バボ〟を繰り返す。愛が光っているシーン✨バボはパパの事です。
 ママは優しさのかたまり。ジェルソミーナには与えられた教育はないけれど、生きるために逞しく愛情深く生きている🐝
 映画はじっくりと彼らの生活と仕事を映し、このひと家族の社会の中に起こる、訪問者や事件、非日常の体験によって生まれる未知の感情を変化していくだろう未来を、監督の独特な繊細な視線とジェルソミーナの感情で見事に一枚に重ね、映画はじわりじわりと進行していく。
洞窟の中の2人の幻想的なシーンもいい。それは大人になる前の忘れられない美しい記憶となる。完全完璧な感じではなく、ある感情を両手で掬ったような映画です。
あと、最初からちょっと驚く生理的なものや下着姿を見せられると、否応もなく近づかされる。なんか、私はぐいっと引っ張られてしまった😶やられた‼︎
最後の風吹く中、眠っているシーンが大好き、心配だったよね💦そしてパパのプレゼントに呆然感激😵ママの激怒もわかるけれど😓ぱっつんぱっつんの妹と端役なのだけれど下の妹たちの発する言葉と存在も本当に可愛くて大好き🤩
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