パンケーキレンズ

Mommy/マミーのパンケーキレンズのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.0
ドラン監督、原点回帰

閉ざされた世界の中で
自由に生きたい
共存して生きたい
悲劇の中に存在する希望を集めながら
まるで肖像画のような映画だった

ドラン監督の撮る「同性愛」の映画がとにかく大好きなんですけど、この母と息子の絆を描いた物語自体もまた、ドラン自身の風景であるような気がした

この世は悲劇に満ちている

その中で、束の間の幸福を生きる3人

外の世界がどんなに不平等で不遇であっても
自分の中にある世界で強く生き
無償の愛を与え
無償の愛をもらうことこそが
生きることの尊厳・・・

正方形の枠組みで、生きるために戦う人物を描きながら、フレームと共に世界が広がることで幸福感を表したり、ひたすらボケた映像で儚い夢を表現したり、そのアートな手法がドラン的♪

『トムアットザファーム』の終盤でも動くフレームが採用されてましたが、今回それが研ぎ澄まされた感じを受けました

撮影監督は『灼熱の魂』のアンドレ・ターピン
1:1画角も、彼の提案だったそうです
余計な背景が一切入らないので、キャラクターにフォーカスを当てるにはとても有効的な手法ですよね
そういや、ガス・ヴァン・サントの『エレファント』も真四角だったな〜(あれも傑作♩)

ドラン監督がこだわる35mmフィルムの映像と、今回の画角が、見事に融合してドラマティックでした♪

母親の愛情は枯渇しない
どんな事があっても、息子の最初で最後の味方
と同時に、女性としての強さにグッときた・・・

つらい時間を一緒に過ごしてくれた友人への
最後の最後の恩返し
涙を流さず送り出すことが
彼女にできる最上の感謝状

そう
ここにはいない、息子の分まで・・・