Mayuzumi

Mommy/マミーのMayuzumiのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.5
 これまでこだわっていた同性愛を封印した分、母と息子の関係により繊細に迫っているところが、処女作『マイ・マザー』との一番の違いである。
 テーマ性と云い、母親と女教師の役を同じ役者に演じさせていることと云い、ドランのなかでは原点回帰のような意味もあったのかも知れないが、処女作で実験的に使われ、『胸騒ぎの恋人』で多用されて、『わたしはロランス』において確立された、あの音楽空間のなかのスローモー後頭部ショットを、これまで以上にストーリーに馴染ませながら(ただし本作では後頭部でなく、正面のショットの方が多い。後頭部を映すのは自己客観化であるが、正面はキャラクターへの只ならぬシンパシーを呼覚ます)、正方形のスクリーンのなかで、現実とは別のより詩的な、より自由な、よりプライベートな映像空間に飛び込んでみせたところに、この映画の鮮烈な青春性がある。
『Mammy/マミー』で証明された重要なようでいて瑣末なことがもうひとつある。本作の尺は二時間超であり、『わたしはロランス』もそうだが、二時間を超えるとドランは出て来ない。