カテリーナ

Mommy/マミーのカテリーナのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
5.0
ドラン祭り
トムアットザファーム
わたしはロランス
そして今作マミー
とんでもない傑作に出会ってしまった!

発達障害を持つ息子と母親の物語
今だかつてこれ程母親の愛情を渇望する映画を見た事があっただろうか
子を持つ親の立場でこの映画鑑賞は
かなりキツかった
この位の年齢になると息子は母親より
腕力が勝るのが厄介だ
キレて手がつけられなくなった時に
自分の命が危うくなる
15歳になる息子スティーヴ(アントワン=オリヴィエ・ピロン)はADHD(多動性障害)性格は攻撃的 常に情緒不安定なのだ
母親のダイアン・デュプレ(アンヌ・ドルヴァル)は献身的に息子の為に掃除婦として働きながら面倒をみる
そこに向いの家の主婦が絡んでくる
カイラ(スザンヌ・クレマン)は引きこもり気味で神経衰弱の気がある休職中の高校教師だか精神的なストレスからか吃音に苦し
んでいる 同じ精神障害を持つふたりカイラとスティーブの心が通い合い ダイアンとも
意気投合 スティーブの家庭教師を買ってでる スティーブの聡明さや純朴さに触れ
カイラはスティーブと過ごす時間により
心が解放され、吃音の症状も治まってくるのだ それまでの画面が心の窮屈さを表すようにアスペクト比が狭かったが
三人が青空の下で自転車に乗って風をきりながら帰る道のりはアスペクト比が広がるスティーブが画面を自らこじ開ける仕草が可笑しい
それは三人が一番幸せな時間だった

しかし幸せな時間は続かない
人生の中で幸福とそうでない比率は圧倒的に不幸な方が多いものだと台詞によってドランが語るように
アスペクト比が元通り狭くなるのだ

母親の負担がさらに増える
生活費や訴訟の費用、医療費に施設にかかる資金と痩せた母親の背中には重すぎる重責 その中で生きる為に選択を迫られる
女ひとりではやはり背負いきれない限界がある そんな時に最後に頼るのは男

スティーブはそれが気に入らない
自分の為にダイアンが選択した事と頭でわかっていても態度は裏腹その辺りの演出は
見ていて辛い
カラオケでスティーブが歌いながら見つめるダイアンの背中
そしてトラブルを起こし 事態は最悪な状態に陥る ここからは不幸な道をまっしぐら

この後の展開はラストシーンまで
号泣につぐ号泣の連続
画面が涙で見えなくなった
自分の嗚咽する声にかき消される台詞

息子を心から愛する事は
なんの苦労にもならない
母親の愛情は永遠なのだとスティーブに言い聞かせるダイアンの目が虚ろだった
しかし
未来のスティーブを見せる事で
ダイアンが希望を捨てず選択した道だったとドランは語ったのだと信じたい。

この素晴らしい刹那的な幸福感
ドランのその演出のキレの良さ
この映画で語る母親の愛情の深さ
などなど、理由は沢山あるがわたしの
オールタイムベストの映画となった!
ブラボー!ドラン!

最後までこの様な長い駄文を読んでくださりありがとうございました。