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Mommy/マミーのvaryのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.1
Xavier Dolanの作品はXavier Dolanそのものだ。

オリジナルのアスペクト比とはこういうことか。なかなか存在感があるじゃないか。自然かつ大胆なアスペクト変化。この映画の象徴とも言えるかも知れない。1:1は狭く見え、1.85:1は広く見える。Xavier Dolanは何かしらをやらかす。それはカナダ映画の革新となるかもしれない。

未亡人。ADHD。吃音症。と一見、社会的には不幸者。生活もままならず、法律にも触れる日常。平穏なんてものは一瞬たりとも訪れず、ブラックコーヒーの黒と卵の白の世界が死へ向かって生きつづける。そんな塞ぎ込んだ世界が、愛によって、色とりどりの鮮やかな世界へと広がっていく。

この映画は、人間の弱さと人間の強さを痛烈に描いた作品です。怒り、悲しみ、欲、自由。人間の弱さ。愛、友情、正義。人間の強さ。どれも、人間が人間たる所以。どれか一つでも欠けることは絶対にないはずです。それは、医者でも先生でも、政治家でも。最後に残るのは、強さなのか弱さなのかそれとも、本能なのか。

Xavier Dolanが「Mommy」を描いた証として、この映画は多くのイメージを残してくれました。
なんといっても正方形の画面アスペクト比。Instagramを彷彿させる生活感が際立つ映像が画面のフレームを消し去りましhた。それ以上に、人物を映し出すバストショットはワンショットでいっぱいいっぱい、一方、頬を寄せ合ったスリーショットはこの映画でも最も微笑ましいシーン。さらに1.85:1のアスペクトに広がるシーンは初体験の衝撃。映像の彩度も変化させながら、青空とスティーブの服装の色が目の前にぐわぁーっと広がります。さらにさらに、再び1:1に戻るシーンも見物。1度目は気付かなかった。それほどストーリーとリズムがぴったり。
つぎに、音楽。Oasisなんて選ぶあたりが本気。ベタベタなのにその楽曲。ベタとかよりも、その曲がそのシーンを表現しているから。映画音楽はそのシーンに合わせて作曲することが多いけど、この映画は現存する曲から選んでいる。それはダイアンがスティーブがカイラがそれを聞いているから。音楽もがこの映画を語っている。
さらに、カメラワーク。これは実際に見てみると、わかると思います。

Elephant Songに引き続きXavier Dolanの作品を見た。監督としての彼と、俳優としての彼はまた一味違ったシリアス感が味わえた。
The Death and Life of John F. Donovanを機にハリウッドへの進出。賞レースを総なめにすることを期待します。