綺麗で、切なくて、暖かくて、突き刺さるような。どの一瞬もすべて絶対に見逃すまいと思うほどに。
この映画は「人生」そのものではないか。
常に、愛だけは、その隣に寄り添う。
人生って、希望も絶望もあって、そこを行ったり来たりしながら、進んだり戻ったりしながら生きていくだけで、明確な終わりなんて無いんだと、斬新な手法ではっきりと突き付けられる。いつだってハッピーエンドの先にも物語はあるし、どんなに重い結末にもその先の物語があるのだと。
母ダイアンの希望で満ち溢れた夢。フォーカスが合わなくて、揺れて、揺れて。目が醒めると否応無しに現実が襲いかかってくる。こんなはずじゃなかったと、自由になりたいと、彼女も思ったのだろうか。わたしにはこの作品が教えてくれたのは希望だとは全く思えなかった。走り出した彼はきっと自由になる。けれどその自由は希望へと繋がりはしないだろう。
二人の間にあるのは愛だけ。それだけだ。
「私はどうしても自分の家族を捨てることが出来なくて」
「私は希望を選んだの」
二人の母親は、もう二度と会うことは無いのだろうと、頭の片隅で思う。