母の子に対する愛って、父親と比べてとんでもなく深いって常日頃思う。一生の中で身体的に女性の方が辛いこと、痛いことが多くて、対して男性は病気や怪我を除けば痛いことないし。だからその分深く愛し、その喜びを知れるのだと思っている。
スティーヴを父親目線で見た時に、率直に愛し切れないと思った。ADHDだって頭で理解していても、そのスティーヴの行動の結果、降りかかってくる問題たちは家族にとってはとても辛い問題だ。自分だったら早々にS-14法案に乗っかってしまう気がする。
ダイアンが最後にした選択はどうしたって理解できるものだし、それでも手元に置いて育て続けるっていう結末だったとしたらリアリティに欠ける作品になってしまっただろう。
直前にダイアンの脳裏によぎった、スティーヴとの理想の未来、普通に育っていればそうなったであろう未来、それがさらにダイアンの決断がどれほど苦しいものだったかを際立たせる。
スティーヴからの視点だと、思い通りに制御できない自分の心と行動、その結果母親に迷惑をかけていることも理解しているのにやっぱりコントロールできないやるせ無さ。自分はいずれ見離されるだろうと思っているからこそ確かめたい母の愛。だからスティーヴはダイアンのことが好きだと伝え続けるのだろう。
1対1のアスペクト比が広がる瞬間の感動、スマホじゃなくて劇場で観れたらもっとすごかったんだろう。
