夫を亡くし稼ぎもない母のもとに、行動障害で感情の制御のきかない息子が、施設で放火騒動をおこして戻ってきた。金が、法が、人が、学が、あるゆる手を使って親子を追い詰める。「２人で戦うしかないだろう？」苦しいほどのタフネスで壁と戦う親子の物語。
暴力性のある息子スティーヴには、そのあまりの行動力に大の大人に抱くような恐怖を覚えるけれど、合間に見せる彼の"本音"ははっとするほどに繊細で純粋で汚れを知らない。現実と向き合いながら息子を愛する母と、現実を押し除けて母を愛する息子。すれ違うことはあっても、２人がどうしようもなく愛し合っていることは明らかで、その結びつきは驚くほど強固。それがまた２人を強くしている。
一瞬たりとも立ち止まらない親子と、"人生の立ち止まり"の中にいる隣人カイラとの触れ合いがまた独特で、物語の香りを豊かにする。
心に残る画がいくつも点在する作品でした。
