ロビン

あの日の声を探してのロビンのレビュー・感想・評価

あの日の声を探して(2014年製作の映画)
4.0
チェチェン紛争を舞台に描いたヒューマン・ドラマであり、ロシアのチェチェン侵攻は現在のウクライナ侵攻と重なる。
何故ロシアという国は蛮行を繰り返すんだろう。。。

物語の主軸となるのはジャケに写ってる両親と声を失った9歳の少年ハジと、ある事情からこの少年を預かることになったEU職員のキャロル。
特にハジ役のアブドゥル・カリム・マムツィエフの表情だけで観る側に訴えかける演技は素晴らしいかった。
そして同時にもうひとつの物語が描かれていて、それはロシア軍に強制入隊させられ鬼畜な兵士へと変貌していく青年コーリャの姿。

本作を観終わるまでは9歳の少年ハジがメインで描かれていると思ったが、ラストの描写が冒頭のチェチェンの村人(ハジの両親)をロシア兵が無慈悲に銃殺する衝撃的な場面を、あるロシア兵が笑いながらビデオ撮影しているシーンに繋がるのだと分かった時に鳥肌が立った。。
ヘタなホラーなんか比べ物にならないぐらい恐ろしかった。。
そして、もう一度冒頭のシーンを観直すと更にゾッとする。

【ネタバレ】
  ↓









ラストを観るまで同じ時系列で描かれているように思えた二人の主人公ハジとコーリャだけれど、コーリャの描写は冒頭のシーンに繋がるまでの過程を描いていた。

この作品のメインは家族を殺され声を失ったハジの描写ではなく、ギターを背負ってた普通の青年が戦場では人が無惨な死に方をしても、人を殺すことにも何の感情も湧かなくなってしうのだと。
どんな人間でも戦場では狂気に走ってしまうのだという現実を突きつけられ、何とも言えない気持ちにさせられる。。
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