あっくん

あの日の声を探してのあっくんのレビュー・感想・評価

あの日の声を探して(2014年製作の映画)
4.8
今も続く戦時中のウクライナ情勢…。
ニュース等の映像から逃げ惑う住民達や通行人の近くにいきなりのミサイル砲撃…。
砲撃により美しかったウクライナの風景が焼け野原に…。
そして増え続ける死者…負傷者と生存者によるウクライナ住人の悲痛な叫び声…。
最近では拷問後に殺害されたという戦争犯罪が多発している事が多くのニュースに…。

ニュースを観たくないほど心が痛みながらも、本作を思い出しては重なってしまう…。
プーチン大統領に対して《また歴史と悲劇は繰り返すのか💢》っと心から強く訴え、沸々と怒りが込み上げてきます…。

以前にもプーチン大統領は戦争を起こしていたのが1999年から始まった第二次チェチェン戦争…。それが本作…。
もっと多くの方に観て欲しい…。
今だからこそ観なくちゃいけない、更に知るべき作品の再鑑賞レビュー‼️

・あらすじ
ロシア軍の侵攻が激化する1999年の第二次チェチェン戦争。
目の前で両親が兵士に殺されてしまったショックで口がきけなくなってしまい、逃亡しながらも姉弟とも生き別れになってしまった9歳の少年ハジ。
そしてハジと出会ったのが、チェチェン紛争の調査しながらも目の前の戦争を止めることができず、無力感に苛まれるEU職員のキャロル。
戦火の中、弟を探し続ける女性ライザ。
ハジやライザと保護した戦争難民をサポートする赤十字事務所のヘレン。
そして軽い罪を犯した事でロシア兵へと強制入隊させられたごく普通の青年コーリャ。
チェチェン戦争に巻き込まれる人々の様々な視点から観て、戦争に対してどう思うのか…❓
戦争の残酷さの意味を知る…。

・感想
初見で観た時は衝撃的で辛かった…。
まるでリアルなドキュメンタリーを観ている様な映画…。衝撃的過ぎてDVDも購入…。
でも目を背けちゃいけない…。
チェチェンで生き残った人達を思うと言葉にできない…。悲しすぎる…。
罪のない人達がどれ程多く、命と幸せを奪われて壊されたのだろうか…。
重くても、心の奥底から戦争の恐ろしさを知った作品です…。

だが本作を観てからまさか、またこの悲劇がウクライナで起きるとは誰が思ったことか…。
何故歴史が繰り返すのか❓
何の為の戦争なのだろうか❓
巻き込まれた住民達が何をしたって言うのか❓❓

・第二次チェチェン戦争のきっかけ
1996年に大勢の犠牲者を出したチェチェン紛争が終結し、チェチェンからロシア軍は撤退するが、1999年プーチンを首相に任命した直後にモスクワでテロが発生。政府はこれをチェチェン独立派の犯行と断定し、ロシア軍は「対テロ作戦」の名目で再びチェチェンに侵攻が開始する。

・キャラクター
素晴らしい演技力です❗
わずか9歳で悲しさと孤独感、絶望した表情をしたハジ…。途中亡き父が得意だった力強いダンスをする姿がとても印象深い…。
そんな周りに優しい女性達には本当に救いだと思います…。
そして影の主人公である青年コーリャのギャップ…。
どのキャラクターも繊細的かつ、一人一人の存在感が凄い…。

・ラストシーン
ラストは少しの希望のシーンとゾッとする怖さの絶望シーンを同時に味わう衝撃のラスト…。
そして一言…これが戦争なんです…。

映画「8月のメモワール」の中で語る言葉を思い出します…。
「人は戦争を理解しても、戦争は人を理解しない…。
戦争は誰も動かし方を知らないとてつもなく大きい機械の様な物。
一旦操縦法を間違えると、戦う目的や人の良い面や大切な物も失ってしまう」
…全くその通りで思ってなりません…。
戦争(チェチェン紛争もウクライナ戦争も)は残酷さ、悲しみ、虚しさ…どれも悲劇にしか生まれない…。
両国の住民に兵隊…もし戦争が無かったら、一人一人にどんな未来が待っていたのか…❓
結局戦争で全てが破壊されていく…。
人の心も人生も全て…。

・キャスト陣
一級品なキャスト陣‼️
監督はミシェル・アザナヴィシウス監督(アーティスト)。
キャロル役は監督の奥様であるベレニスペジョ(アーティスト、ロックユー、タイピスト❗)
ヘレン役にアネットベニング(アメリカンビューティー、ナイル川殺人事件)が熱演❗
そして無名の俳優陣として、
ハジ役で一般人参加ながらも素晴らしい名演技だったアブドゥル・カリム・マムツィエフ。
コーリャ役で衝撃的な演技力のマキシム・エメリヤノフ。
そしてライッサ役のズクラ・ドゥイシュビリは、チェチェン戦争での暴力の凄まじさを世界に伝えたい為に映画に参加した一般人だとの事。

・最後に
戦争での一番の悪は、戦争を仕掛けた上の者達だと自分は思います…。
そして結局一番の被害者が住民達…特に女性や幼き者達…。
まるで伝染病の様に、悲劇と混乱、怒りと憎しみという負の連鎖が周りに伝わっていく…。
戦争で亡くなった人達にご冥福をお祈りすると同時に、1秒でも早く、戦争が終結する事…そして平和が訪れる事を心から願っています…。

※本作は現在、U-NEXTでも配信中です。
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