くろねこヤマ子

ターナー、光に愛を求めてのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

ターナー、光に愛を求めて(2014年製作の映画)
4.0
ターナー展の開催と併せた
上映会を観てきました。

2020年から新しくなる
20ポンド紙幣の肖像画は
ウィリアム・ターナー。
英国を代表する風景画の巨匠。

彼の人生の中程から晩年にかけてを
そっとなぞった物語。

彼の作風は光の射し方が美しい。
それは荒波の海であっても、
軽やかな水面であっても。

画風が幾度か変わった彼の
晩年の作風は、
柔らかな空気を孕んだ海辺の作品群。

それと似た景色が
スクリーンに時折映し出され、
大きく包みこまれる感じ。
満たされる。好きになる。

晩年に向けて美術協会から
爪弾きにされて行く姿が哀しい。

彼の独特な絵の技巧。
親指の爪は長く。
絵を描いている様を
再現してくれているのも面白い。
(展覧会を観ていたから余計に)

Wikiにある自画像、
紙幣になる姿と実際の姿は
全く異なり(いいのか?)
自身のコンプレッスクでもあった
見目麗しくない姿。
(ごめんティモシー!)

いい人ではなかったけど、
可愛らしくも感じたのは、
見目麗しくないからこそ、
あの繊細さを
受け止められたというか。

ティモシーの力というか。
ゴニョゴニョ。

挿絵のためのエッチングの件が
出てこなかったのだけ、残念。
削った方が
ロマンティックだったのかな。