きぬきぬ

禁じられた歌声のきぬきぬのレビュー・感想・評価

禁じられた歌声(2014年製作の映画)
3.9
冒頭で偶像を射撃の的にするなど不穏さがつきまとう。ティンブクトゥの郊外に住む牛飼いの家族の穏やかな生活さえ、常に脅かされている。
西アフリカ、マリ共和国の古都ティンブクトゥ、イスラム教の信仰篤く、大学もあるからか、多種族が集い言語も多様、おそらく文化的に開けているこの町も、イスラム過激派による弾圧を受けている。銃器や携帯や自動車など文明の利器を利用する圧政者たちは、恐れおおくも神(アラ-)の代理人と名乗り、古いしきたり(文化的な抑圧もある)を威厳の為なのか何なのか身勝手に民衆に強要する。
禁じられ重く罰せられると知りながらも、歌や音楽、サッカー(ボールは無い)を楽しむ人々や、事故でも自ら犯した過ちを受け入れる牛飼いの父親の姿に、尊厳ある抵抗を感じさせる。
淡々としているが、圧政者の矛盾点を追求していて素晴らしい。
現代社会において、この状況がリアルな人々がいることが悲劇であり、悲しみとやりきれなさに胸が詰まる。全てはアラ-の意志であっても、この映画でも神は沈黙している。