masayaan

サンドラの週末のmasayaanのレビュー・感想・評価

サンドラの週末(2014年製作の映画)
3.5
2010年代ベスト等でもすでに各方面で絶賛されている本作。劇場でかかっているのを逃してしまい、恥ずかしながらレンタルです。

あらすじは周知のとおりで、同僚の家を説得して回り、玄関先であっさり断られ、とぼとぼと帰ろうと歩き始めた矢先、「サンドラ!」と必ず呼び止められるのがなんか不自然だなーと思っていると、なるほど、振り返ったサンドラと同僚が向き合うのをカメラが横から捉えると、そこには「断絶」を表象するものがちょうど二人の間に配置されているのだった。周到に計算・シミュレートされたカメラワークと俳優の動線、環境の選択。内省や心象を視覚化させる誠意。低予算ながら、かなり計算が行き届いた映画だと感じました。

しかし、内容的にはなんとも・・・うつ病上がりの妻に「俺は公営団地に戻りたくないぞ」と言ってこの仕打ちを強いる夫は優しいのか、なんなのか。同僚たちの反応も素朴だなーと。また、この国の労働法制がどうなっているのか知る由もないけれど、まあ、従業員の数からしてコンプライアンスも労組もへちまもない企業なのでしょう。主題的には、現実的な復職と言うより、サンドラがガッツを取り戻せるかどうかにウェイトが行っていて、だとすれば本作のショック療法的な部分は受け入れ難かったです。
masayaan

masayaan