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サンドラの週末のGUMIのレビュー・感想・評価

サンドラの週末(2014年製作の映画)
4.3
決して強くはない1人の女性が、会社の中でも自分の中でも「自分」を確立しようと踏ん張る姿に胸が熱くなる。

マリオンの強さと弱さを兼ね備えた演技は安定の好演。


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金曜日、しばらく休んでいた仕事。やっと体調も整い来週から復帰しよう…そんな矢先、サンドラは電話で解雇を告げられる。
病み上がりの同僚の復帰か、ボーナス1000ユーロかどちらかを選べと同僚たちの投票で決まったことだと言う。
月曜日に再投票してもらえるよう何とか取り付けたが、サンドラは週末の内に同僚らを説得しなければならず…

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こんな究極の二択アリなのか。
価値観が試され、出したくない自分の一面を晒さざるを得ない。
サンドラにとっては、必要に迫られ同僚たちを訪問しなくてはならないが 同僚と会う度に自分の価値について現実を突きつけられる。
しかも病み上がりの体調の中で。一番傷付けてはいけないところを自ら傷付けにいくのだから残酷という言葉だけでは済まされない。

きっとそんな状況だったからこそ彼女は「ここで引いたら戻れなくなる」のを悟ることも出来た。
強くない彼女がアクションを起こす…その彼女のために最低限のフォローをする夫がパートナーとして優秀だった。


助けてくれる男性もいるなら思ったよりはギリギリじゃない…と思ってしまう瞬間が無かったとは言えないが、ここで描かれてるのはきっとそういうことじゃない。

いかにして自分の居場所を取り戻すかが彼女にとって最も重要なことであり、それには自分にどれほどの価値があるのかを思い知ることになる。それを伝えるための設定なのか、と。

「2人の子の母として」や、「妻として」ではなくサンドラという1人の人間としての価値を認めてもらうために過酷なことに立ち向かう姿に心打たれる。
同僚がある決断に向かって背中を押されるのもそのはず。



必要最低限の情報から多くのものを感じ取る時間をくれた。音楽も最低限かつ効果的。
無駄なものが一つもない、すごく好みの造りでした。
同僚と話し終えて去ろうとしたときに「サンドラ」と呼んで振り返らせるのも意図ありげでワクワクする演出だった。
早急にこの監督の作品をチェックしなければ!




それにしても…

同僚イヴォンの息子のクルマに46のマーク。
明らかにV.ロッシ(MotoGPの現役レジェンドライダー)のロゴでちょっとショックでした(笑)
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