はるまき食べたい

サンドラの週末のはるまき食べたいのレビュー・感想・評価

サンドラの週末(2014年製作の映画)
3.0
もっと彼女の「週末」的な日常、あるいは「平日」にある生活の風景を観たかった。これが省略されることで、彼女の「交渉の旅」が不穏なものでありつづけるという演出なのだろうけど。
ただ、含みはあるものの、深みはない。

たぶん、これはフェミニズム時点で観るのは間違っている。彼女が女性であるからというよりも、彼女がひとりの人間として、ひとりの同僚として、職場において虐げられているからだ。
つまり、これは人間の属性の問題ではなく、性質の問題なのだ。ここには、貧困ほどではないものの下流社会の風景は、属性によるものではなく、性質によるものだという批評性も含まれている(と私は解釈した)。

そのことを対話と失敗の経験をとおして自覚的になることで、最終的に執着はなくなり、ほかの「居場所」を見つけようとする。
その「居場所」とは、彼のいる家かもしれないし、新しい職場なのかもしれないし、あるいは薬を飲むことで渡りかけた「彼岸」なのかもしれない。