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サンドラの週末のpenko22のネタバレレビュー・内容・結末

サンドラの週末(2014年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ダメだったけど、大丈夫だー!

仕事ー!!

人ー!!!

会社の給料はワンオブゼム過ぎて労働力対価が分からない。日本企業ではあり得なそうな状況だが、こうして問われると自分が抱えている問題も浮き彫りになる。
結局仕事とは対会社よりも対人、仕事をこなす事だけでなく目の前にいる同僚と‘一緒に’働くことが仕事。
うわべの対人関係ではライフワークバランスは保てない、育休明けに向けてとても大事なエネルギーを貰えた。

冒頭、失業すると諦め市営住宅に戻ればと言うサンドラに対し、夫は元の生活には戻りたくないから頑張ろうと励ます所に違和感を感じた。
(かなり個人的な感想になる)
‘必要なお金があればいい’
が、(我家の)夫の方針で常々議論になっており、この映画で考えさせられた、“必要な”とは⁇
同じ職場で(恐らく)同じ給料を稼ぐ同僚一人一人それぞれに“必要な”程度が違う。
字面でも頭でも当然理解出来ているつもりだが、サンドラが一軒一軒家を訪ねることでその実感がむくむく湧く。
必要なお金は、1つの家族の中でもそれぞれバラバラで、互いに理解し合えないとうちみたいになる。
お互いの収入を2人の稼ぎとして、足並みを揃えて同じ理想を目指す(いい事言いたいギタリストの影響か暑苦しい文章になった)
単純に、冒頭のサンドラと夫はすれ違っている。結果的には夫の愛のある励ましによって、復職にこだわらず鬱後のサンドラのメンタルがポジティブでヘルシーになっており、私自身もとても励みになる映画だったが、
復職せずに公営住宅に戻ることは家族会議の選択肢に上がってもいい。出来るだけ多くの収入=出来るだけ豊かな暮らしを皆が追い求めた結果、サンドラは助けたいが経済的に無理となる、資本主義経済の弊害がシンプルに描かれる。

"必要なだけ"の夫に対する私の口癖は"貧しい必要はない"

貧しい必要が無くて、皆が貧しくなくなればハッピーだが、人はどこまでも豊かになり、同様下には下が、どれだけ豊かになれば貧しくないのか分からない。
これもサンドラと一緒に同僚を一軒一軒訪ねたら簡単に分かる。
隣人の車と比べなければいいのか、
衣食住に困らなければ豊かなのか、
最低限度の健康で文化的な生活とは?
どんな生活水準であろうと、本人が満足しているかどうかだけだと、家を見渡して思う。我が城、改善の努力をしつつどっしり居つけたらハッピー。

長々しく私事な感想になってしまったが、結局映画ってすごいし、やっぱり好きだ。
どんなにいい事で正しいことでもくどくど言われるのは嫌、押し付けがましいアーティストの解説は作品で伝えられなかった遠吠え。
シンプルな出来事の描写からエネルギーやメッセージを貰える映画。

サンドラの鬱っ気にも共感しがちな私だが、またこうやって元気になるまで映画観漁ろう、と思った。

ギターを弾く人に負けない働き方をする。
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