亘

サンドラの週末の亘のレビュー・感想・評価

サンドラの週末(2014年製作の映画)
3.7
サンドラは鬱病から回復したために復職しようとしたが社長から解雇を言い渡される。それは従業員が投票で彼女の復職よりボーナスを選んだからだった。再投票までの2日間、生活のためにサンドラは同僚たちに彼女の復職に投票するよう懇願する。

サンドラの復職か自らの生活か、窮地に立たされた時の人の葛藤を描いているように感じた。月曜日の再投票に向けてサンドラが同僚の家を周る中で同僚それぞれの考え方や事情が見えてくる。「不景気で生活が苦しい」、「妻が解雇された」、「リフォームに金が必要」、多くはサンドラに優しい言葉をかけつつもボーナスがほしい。中には社内にもめ事を起こしたくないからという理由でボーナス派の人もいる。工場の従業員は16人しかいないから、皆の顔がわかるような小さいコミュニティの中で孤立したくないということもあるんだろう。

サンドラはなかなか説得が上手くいかずにくよくよしながらも夫マニュの助けや賛成派のジュリエットの助けを借りながら説得を続ける。そんななか徐々に味方が出てきてサンドラも自信を持ち始める。自分よりもサンドラを優先した同僚たちの姿勢は素晴らしかった。特にアルフォンソは臨時職員で弱い立場にあるにも拘らず良心に従ってサンドラの味方になる。彼は貧しいけどもかっこよく見えた。

月曜日の朝、投票の後でサンドラは社長から呼ばれて話をされる。そこでサンドラが下した決断は少し以外ではあったけど、それまでアルフォンソたちの優しさに触れたサンドラにとっては簡単な決断だったのかもしれない。ラストのサンドラの後ろ姿はどこか明るい未来を予感させた。

印象に残ったシーン:ティムールが謝罪をするシーン。アンヌがサンドラの元に戻ってくるシーン。アルフォンソがサンドラと話すシーン。最後に社長室で社長と話すシーン。
亘