SHIROHITO

サンドラの週末のSHIROHITOのレビュー・感想・評価

サンドラの週末(2014年製作の映画)
3.7
『Two days, one night』

ダルデンヌ兄弟監督最新作。美しきオスカー女優マリオンが髪ボサボサのどスッピンで元鬱病の女性を演じ、人としての成長やベルギーの労働環境?を描く。とことん地味で90分ちょいと短い作品。苦手なダメ女映画でした。

◎あらすじ◎
鬱病で休職中のサンドラ(マリオン・コティヤール)は復帰目前で解雇を電話で言い渡される。落胆するサンドラは直談判によりチャンスを得る。それは同僚たちのボーナス放棄という条件で再雇用するというもの。つまり「16人の同僚で週末明けに無記名投票を行う。過半数が自分のボーナスよりサンドラをを選んだら、雇用継続する」という提案だった。それを受けて、投票日までに同僚たちの説得に奔走するサンドラの週末が幕を開ける。。。

「ヨーロッパの労働法規」「鮮やかな色彩」が観ながら気になった。
社員を雇用するか解雇するかなんて、上に立つ者が決定する権限とそれに伴う責任もあって然るべきなのに、同僚たちに託すとかなんて酷い仕打ちなんだと観ていて嫌な気持ちになった。ベルギーの労働環境はこれがリアルかどうかは自分には分からないけど、ちょっと納得できない展開だった。その他力本願な方針によってサンドラと同僚たちが交わす会話は決して気持ちいいものではない。同僚たちにも各々の家庭事情があり、サンドラを救いたくても救えないことに苦しむ人や、夫婦の間に亀裂が入ったり、この投票のせいで起こる負の感情。こういう血の通ってない決定をする上司にイライラして昔バイトで店長にガチギレしてケンカしたの思い出した。
そんな話と打って変わって画は綺麗なのが違和感が。服装や壁紙、カーテンなど取り囲む世界のビビットな色彩、明るい陽が差し込む街並み、こんなにキレイに撮る必要あったのかな。内容の重みと対比してるにしても、全ての同僚がサンドラを切って捨てる過酷な決定をするわけでもないし。中には身銭を切って思いやり溢れる対応してくれる者もいるので、自分の好みでもあるのだけど画はもっと暗くどっしりとした色味で撮って欲しかった。その方がこの兄弟監督らしくもあると思うんだが。
結末には監督らしくあるものが用意されていて、それによって彼女が冒頭とは全く違う人間になったことが示される。清々しく、凛とした表情でサンドラの週末が終わる。

内容はずっと地味で平凡な日常的、そこで垣間見える人と人との関わりを観れて面白かった。少し意味分からないところもあって、日本とヨーロッパはそんな違うのか?と少し疑問が残る。ただ一番ハマらなかった点はサンドラという女性が好きになれなかった事か。。
あんな優しい旦那に支えられてんのに、ちょっとのことですぐ諦めて、終いにはあんなことして迷惑かけて……ちょお前ふざけんなよ?ってなってしまった。(マリオンは素晴らしかった、さすがに。美人じゃ成り立たない内容に合わせてきちんとみすぼらしく哀れな女に演じていた。)
こういうダメ女が主人公の映画って決まって好きになれないのが自分の弱みだなぁとつくづく感じる羽目に。ほんと旦那を終始尊敬の眼差しで観たわ。『ブルージャスミン』とか、色々あるけどさ、主人公の女が嫌いだと「いい映画だった…が……二度と観るかぁ!」ってなってまう。まだまだ器が小さい、困ったもんだ。ハァ。
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