Ash国立ホラー大学院卒論執筆

人生スイッチのAsh国立ホラー大学院卒論執筆のレビュー・感想・評価

人生スイッチ(2014年製作の映画)
3.8
【本物の悪夢】

『ブラックミラー』がイギリス版''世にも奇妙な物語''だとしたら、今作はアルゼンチン版だ。本家と比べると救いようのないブラックジョークが多く、心休まる暇がない。だが、『ブラックミラー』ほどヤバい話はないので、家族で鑑賞してもギリギリマズい雰囲気にならないと思う。

アルゼンチンでは公開終了までに史上最高の観客数を記録し、IMDbでは『スタンド・バイ・ミー』や『プラトーン』を抑えて歴代179位。海外でかなりの人気を誇るも日本ではいまいち奮わない。

同じくブラックコメディの金字塔『ブラックミラー』でも海外と日本の評価の差さが明確であり、ブラックコメディが苦手であるという日本人の国民性が浮き彫りとなった。

人間のダークサイドを巧妙な脚本でことごとく魅せていく…。一つ一つのエピソードが怖すぎる。
ファンタジーやSF要素のない、あくまで現実的な話なので他人事として見れない。特に「愚息」のエピソードは刺さる。自分が優秀で大きなミスをしないパーフェクトヒューマンであったとしても、家族やパートナーのミスで全てが崩壊する。これこそ本物の悪夢だ。