もりいゆうた

アメリカン・スナイパーのもりいゆうたのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.4
この映画で初めて「イラク戦争」を自分事化することができた。

戦争映画はかなり苦手で、なかなか見るまでに時間がかかるけど、すごく面白かった。またイーストウッドにはまりそう!

アメリカ軍最強・レジェンドと言われた狙撃手を、戦争の英雄ではなく、戦場の記憶にむしばまれ、PTSDで壊れてゆく一人の父親として描いた作品だったからか、初めて戦争を自分事として捉えることができた。

もちろんイラク戦争が比較的最近の話だからというのもあるけれど、今までは戦争映画を見ても、どこか「嘘やん」と思ってしまっていた。嘘やんというか、昔の歴史の話でしょって。だってたくさん人殺したら英雄扱いなんだもの。そんなの嘘やん。

そんな世界観に入り込めないし感情移入もできなくて、戦争映画はほとんど見たことがなかった。

でもアメリカでこれだけ多くの戦争映画が作られるということは、アメリカ人にとっては戦争はこれほどまでに身近なんだろうな。

ちなみにこの映画の原作には、1,920メートルの狙撃に成功したという記述があるらしい。約2キロ先に弾丸をぶち込むってとんでもないなぁ。やっぱり漫画の世界みたいだ。


イーストウッドは「イラク戦争がテーマの本作を選んだ理由は?」という質問に対してこう答えている。

「戦争というのは、究極の葛藤みたいなものだと思っている。そして葛藤というのはドラマの基本であり、興味深くドラマチックな物語を生むんだ」

「スナイパーとしての才能に秀でた男に興味があったからだよ。160人以上を射殺するという状況は、ドラマとしてとてもダイナミックだ。一方でクリスは、他の人々の面倒を見たり、助けたりするためにこの世に存在したようにも感じられる。それに彼は、家族と一緒にいたいという思いと同時に、海外にいる戦友と一緒にいたいというジレンマも抱えていた。とてもドラマチックな状況にいる人物で、興味深いよ」

原作にはなかった敵の凄腕スナイパーを登場させたのが良かったと思う。戦争映画をシリアスに、そして史実に忠実に作りつつも、凄腕スナイパー対豪腕スナイパーの対決というハラハラさせる展開をまぜこむことで、僕みたいな戦争に関心を持てない層にまで最後まで見させることに成功した。

『アメリカンスナイパー』は『プライベート・ライアン』の2億1650万ドルを超えてアメリカで公開された戦争映画史上最高の興行収入額になっただけあります。次はプライベートライアン見てみる!

冒頭にも書いたけど、この映画で初めて「戦争」(イラク戦争)を自分事化することができた。また映画から世界を知れた。