はなこたちゃん

アメリカン・スナイパーのはなこたちゃんのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
5.0
最初は凄腕のスナイパーをヒーローとして、イラク戦争を美化しているのかと思いながら観ていたら違っていた。
父親から、「人には3種類ある、弱い羊と、狼、そして狼から羊を守る番人。お前を羊に育てた覚えはない。家族を狼から守れ。」
と教え込まれた主人公。
始めは何の疑いも持たず、家族を守る為、祖国を守る為に戦地へ赴き、スナイパーとして任務を遂行する。
けれど、敵も又自分と同じように家族を、祖国を守る為、自分達に銃を向けているのではないかと気付き始めた事で葛藤が生まれ精神のバランスを崩していく。
果たして、人は羊と狼と番人の3種類なのだろうか?一義的、一面的な視点でしか物事を捉えていなかったのではないかと‥
派遣も回を重ねると、「家族を守る為」「仲間の仇を討つ為」という大義名分を唱え自らの行いを正当化するようになる。

イーストウッド監督は、この映画を通じて私たちに何を伝えたかったのか?
こんなハードな映画を、84歳という年齢で、正に身命を賭して
「憎しみや戦争からは何も生まれない」事を訴えたかったのではないか?
「我こそ正義」という傲慢さこそが、この地球から戦争が絶えない原因ではないのかと‥

この映画を通じて私たち一人一人に深く考えさせようとしているのではないかと思うのです。
誰のどの行いが善(羊)で逆に何が悪(狼)なのかはっきり示していない所がイーストウッド監督の手腕だと感じます。
片足を失った帰還兵にとって、確かに彼はヒーローなのかもしれません。でも子どもを含め160人もの命を奪った彼を英雄として称えるアメリカ国民の姿には違和感を感じます。