つかれぐま

アメリカン・スナイパーのつかれぐまのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
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【英雄を演じた男の物語】

『ハートロッカー』のような緊迫感もいいが、無骨なテキサス男の内面に迫り、その本当の姿をなんとか抽出しようとする。本作の良さは、そんなイーストウッド御大の優しさかな。

クリス・カイルという一人の軍人を作り出したのは彼自身か、マッチョな父親か、テキサスの風土か、アメリカという国家か。自分以外の何かのために無意識にヒーローを演じた男が、最後には肥大化した運命に飲み込まれてしまう話だった。

番犬として羊を守るために狼と戦うのではなく、番犬同士が戦う構造の虚しさ。己の鏡像のようなイラク人スナイパーを射殺した時、クリスはどんな思いだったんだろうか?