ラウシュ魁

アメリカン・スナイパーのラウシュ魁のレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.5
クリント・イーストウッドの実話ベースの戦争映画。イラク戦争で活躍?実在したスナイパーを描いた作品。本当にイーストウッドは良い作品を作るなー…ノンフィクションの戦争映画を良いっていうのは抵抗があるけど、深いと言うか凄いと言うか…

なんて言うか、他の戦争映画も見てて辛いところはあるけど、今作は本当に心が抉られる映画。


前半はアメリカ南部の典型的な、"米軍に入隊すべくしたような若者"の半生と、訓練と初期の従軍経験を描く。
父の教えが人生の指針みたいになってるのも頷けた。
中盤からは、徐々に戦争にジャンキーになっていく主人公。

でも、彼は殺人狂とかではなく、純粋に愛国心を持ってて、祖国のために、そして自身の狙撃によって仲間を守るために戦場に繰り返し行くようになる。

この映画の怖いところは、戦争が、実際に現地だけでなく帰国した後もずっと感覚として続いてしまうところを描いているところ。妻の不安見てるのが本当に辛い。

最後の派兵では敵側(?)の凄腕スナイパーをついに撃ち取り、やっと心から帰ってこれるようになる。
敵側のスナイパーのムスタファは最後撃たれた後に砂嵐の中孤独に死んでいく。。

これ何が良いってこの最後の戦闘の前にムスタファも妻みたいな人がいる描写があったんだよね、彼もまた人間、家族はいる。


モロにアメリカのネオコンっていうか戦争推進派が好きそうな主人公像で、所謂イラク戦争を描いた作品で、主人公を英雄として描いてるところからも一見イラク戦争を肯定するような感覚も感じ取れそうだけど、
実はその奥に当然反戦メッセージはある。
それ以上に感じたのは、今作では主人公としてかの有名なスナイパーを描いたことになるが、戦争に行くこと自体の悲惨さ。

愛国心溢れ、人間味も溢れた1人の人間が戦争で心を失って物語。
決して良い話ではない。しかし映画としては良作。それが物語ってもんか。

いやーそれにしてもブラッドリー・クーパーも良かった。帰国後に子供と戯れてた犬を打ってた時狂気の顔してた。
それにしてもこの役作りで何十キロも太って体作ったの凄い。純粋に凄い。
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