takanoひねもすのたり

アメリカン・スナイパーのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
3.9
愛国と反戦。

イラク戦争で160人以上の敵兵を射殺し"伝説"とまで言われた狙撃手クリス・カイルの半自伝。

公開当時はアメリカで大ヒット、それと同時に「大量虐殺者を英雄扱いするなんてけしからん」みたいな論争も引き起こしたらしく。
でも観てみると全然英雄扱い、賛美している内容ではなくて。すごくフラットだなと思ったのですが。

彼のイラク派遣は4回、戦場の様子と帰国して家族と過ごす様子が交互に描かれています。
で、戦場と家庭の平和とのギャップがあり過ぎて葛藤する訳です、ちょっとづつおかしくなってゆく。神経が過敏過ぎたり怒りのコントロールが出来なくなってたり、PTSDですね。
で、役をやってるブラッドリー・クーパーなんですが、帰国している時は、なんか迷子になった子犬みたいな瞳なんですよ。
それ観てたら、英雄賛歌の作品ではなく、戦争行って、初仕事で子供と女性殺して、また殺して殺してってやっていって、自分の中の愛国心と罪悪感とのバランスがおかしくなってしまって心が壊れていくひとの話なんだろうと。

結末がまたどよーんとなるエピソードで。
彼が"助けようとしていた"人も、子供時代なんか割とカイルと似た背景だったらしいんですが。事実なだけに気が重くなりました。

ブラッドリー・クーパー、大分体を作ったんですね。ムキムキムチムチに髭。
この映画を思い出す時、彼の寄る辺ない瞳と、スコープを覗く鋭い目、それが一番に浮かびます。
いい映画でした。