standfield

アメリカン・スナイパーのstandfieldのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.6
残酷だった。戦争の悲惨さと戦争を経験した者の苦しみがひしひしと伝わってきた。

まず母子を殺すシーンがあまりにも悲惨で脳裏から離れられない。自分たちを襲う連中は女子供でも殺さなければならない事もあると思い知らされた。

そしてドリルによる子供の虐殺シーンがあまりにも陰惨ですごく殺意が湧いたのを覚えてる。殺した敵のテロリストに対して「こいつ早く撃ち殺されてしまえばいいのに!」って。
けど後々それが憎しみであることに気づいた。イーストウッドが視聴者に気づかせたかった戦争で起こる感情の一つなんじゃないかと今になって思う。

また、戦争から帰還したクリスが日常生活に馴染めなくなっていく様も悲しかった。戦場での記憶があまりにも苛烈で、普段の何気ない音や様子にも過剰に反応してしまう、こんなの耐えられないだろうな。

最後クリスは、助けようとした米兵に射殺されてしまうが、クリスを殺した男もクリス同様、イラク戦争から帰還してPTSDを患ってしまった兵士だったとわかったときは衝撃だった。戦争の被害者が戦争の被害者に殺される。あまりにも残酷だと思った。

他にも述べたいことはたくさんあるが、とにかくこの映画は戦争の虚しさをリアルに描いている。米軍最強のスナイパーと言われたところで、それはその人にとって少しも嬉しくない。鑑賞後、物思いにふけざるを得なくなる作品。
standfield

standfield