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私の少女のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

私の少女(2014年製作の映画)
4.7
問題を起こしソウルから海辺の村に警察所長として赴任してきた若い女性警官ヨンナム(ペ・ドゥナ)は、14歳の少女ドヒ(キム・セロン)と出会う。
ドヒは実の母親が蒸発し、血のつながりのない継父ヨンハ(ソン・セビョク)と暮らしていて、日常的に暴力を受けている。 無数の傷跡がドヒの過酷な日々を痛々しく語っていた。
村人たちは老人ばかりの集落で、外国人労働者を束ねて若くして力を持つヨンハの横柄な態度を容認し、ドヒに対する暴力ですら見てみぬふりをしている。
そんな状況にひとり立ち向かっていくヨンナムは、ドヒにとって守ってくれる唯一の大人だった。 秘密を抱えて孤立するヨンナムもまた少女の笑顔に癒されてゆくが、やがて激しく自分に執着するようになってきたドヒの存在に少し戸惑いを憶える。
ある日、偶然にもヨンハは衝突を繰り返していたヨンナムの過去を知り、社会的に破滅へと彼女を追いこんでゆく。 ヨンナムを守るため、すべてをかけてドヒは危険な選択をするが…。

あるプライベートの不祥事の為に、海辺の村に警察署長として左遷されるヨンナムの、暴力と男尊女卑が蔓延る警察と海辺の村での居心地悪さや息苦しさに悩み、夜の一人酒が欠かせない孤独さ。
母に捨てられて、継父とお婆ちゃんの虐待されている絶望感から逃れる為、助けてくれる人に異常に執着するドヒの中にある、小さなモンスターぶりと愛情を求める孤独さ。
秘密を持つヨンナムと悲惨な状況に晒されているドヒの、孤独さが引き寄せ合う擬似親子か姉妹のような濃厚な百合的な愛情関係。
外国人労働者に頼り搾取し、虐待が起きていても放置する小さな漁村の閉鎖性とミソジニー。
ヨンナムの複雑な心理と葛藤を含めた心情をナチュラルに表現し抜いたぺ・ドゥナ、ドヒの中にある孤独感と愛情に飢えて愛してくれる人に執着するモンスターな部分を演じ切ったキム・セロンの至高の演技、チョン・ジュリ監督のナチュラルな抑制された演出に惹き込まれてゾワゾワさせられたサスペンス映画。
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