回想シーンでご飯3杯いける

私の少女の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

私の少女(2014年製作の映画)
3.8
ぺ・ドゥナはやはり良い女優だと思う。若い頃は不思議ちゃん的な現実離れした役が多かったものの、近年では芯のある大人の女性も演じるようになり、独自の存在感を放っている。

本作の役どころは、ソウルから田舎町に左遷された女性警官。保守的な男社会がまかり通るこの町で、彼女は継父から虐待を受ける少女と出会う。少女を演じるのは「アジョシ」のキム・セロン。この2人の共演が見られるだけでも本作には大きな魅力がある。

心を通わせるようになった2人だったが、やがて、女性警官の過去を巡る噂が広まり、憎悪と差別の闇に巻き込まれていく。

同じ韓国映画「ハン・ゴンジュ」のレビューでも書いたが、やはり韓国では女性の人権に対する認識が非常に低いようで、本作もそこが大きなテーマになっている。更に女性警官の過去に関する噂に対しては、更に劣悪な反応が広がり、かなり重い雰囲気が漂う作品である。

韓国お得意のドロドロのサスペンスにカテゴライズされるのだろうが、保守的な社会に対する問題定義とアンチのスタンスが明確に示されており、2人の女優の力強い眼差しにも、一株の光が見える。韓国社会の女性蔑視に対する自覚的な視線とメッセージを感じる作品である。