「怪物」のどこにフォーカスを当てるかが面白かった。
最初ジョニー・リー・ミラーの方を観て「なるほど、怪物だ!」と納得のパワフルで生々しいモンスターだった。
その後にベネディクト・カンバーバッチを観たから余計によかったんだと思う。
ジョニー・リー・ミラーがフィジカルを体現していたのに対し、ベネディクト・カンバーバッチは極上のきめ細やかさで心情を表現した、とても悲しい人間だった。
2人の役者のそれぞれのアプローチを観るだけでも相当な価値だが「さすがチームトレインスポッティング」と言わせる舞台美術、特に天井から無数に垂らされている電球たちが、子宮のようにも脳内のシナプスのようにも見え、最後は心臓の鼓動と共に消えて、それぞれのシーンでの心情を表すような演出も圧巻だった。