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囚われの美女のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

囚われの美女(1983年製作の映画)
3.0
[死の天使が導く悪夢の幻想、ARGと幻惑の映画たち⑥] 60点

見た目の割りに手先が器用なので昔から細かい作業が好きで、特に版画が得意だった。今となってはそんな技術を使う場面などほとんどないのだが、未だに消しゴムスタンプなどを作って遊ぶことはある。版画が得意だと知った当時、私は図工室を借りて様々な作品を刷っていた。その一つにマグリット『囚われの美女』を模したものもあった。中学二年でマグリット作品に出合って以来、彼の生まれ故郷であるベルギーまで訪ねて美術館にも行った。一番好きなマグリットは『神々の怒り』と『貫かれた時間』だが、『ピレネーの城』や『大家族』も棄て難い。そんなマグリット好きが本作品を発見するのに時間はかからなかったが、見る機会といえば紀伊国屋版の怪しいDVD(おっぱいの上に宣伝シールを貼るという芸当)を入手するくらいだったから別にいいやという感じだった。すると、どういう風の運びか彼の作品を六つも劇場(イメフォではあるが)で上映するとなれば行くしかないだろう。

昨日"そろそろ卒論書き始めないとね"とか言われたんだけどね!来ちゃったよ!四本も!

という訳で朝からイメフォに張り付いて最初に見たのが本作品である。まず、囚われてるのが全然美女じゃないってのは置いとくとして…いや置いとけない。もっと可愛い子いたでしょ。マグリットの出し方もなんかあざといし、出しすぎだしで完全にアウトだった。しかし、ここまで楽しみにしていた私を救ってくれたのはやっぱりサラさんであり、延々と反復する処刑シーンは悪夢の描き方として素晴らしいと思う。

サラさんが囚われてればよかったんだよ。でも、ARGが緊縛好きの変態ということはよく分かったから、それだけでも収穫だね。
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